朝鮮通信使登城行列図 巻物
延享五年(1748)の第十度の通信使の江戸城への行列図。将軍に進上される大虎韋と豹革を先頭に担ぎ、正使洪啓禧・副使南泰耆・従事官曹命采ら一行の、江戸城への来朝謁見の登城風景を賑々しく描く。同一人の筆とみられる行列図が、下関市調布博物館に収蔵されている。調布博物館本が平戸藩の藩儒の家に伝わったこと、専門の絵師の描画と見られないことから、藩儒の江戸詰のとき、実際に見聞したことを自ら書き留めたものではないかと推測されている。素人臭い速筆が、場の緊張感と躍動とを鮮明にし、それが朝鮮民画を彷彿させ、これの形成についての興味を膨らませる。参考『こころの交流・朝鮮通信使』.京都文化博物館.2001.P98