鉢形は後部を高くし、膨らみを持たせず、天辺の左右をわずかに低くし、一気に先に尖る。
後正中に「一忠」(名寄に名をみない)と銘を切る。
八幡座は金工四段で低く小さく戴く。四天鋲・響孔を中段に具える。眉庇は鉢金の先尖をさらに鋭くした当世額形で、縁を折り返して覆輪に代え、奈良菊鋲三と小桜鋲三で鉢金に留め、中の奈良菊鋲に小桜鋲を下端に添えて祓立台を立てる。祓立台の先端は曲二段に削り、小孔二を縦に並べる。吹返は二段の体裁にし、絵革を小桜鋲八で貼る。下段は肩摺板に倣い緋綴糸一段に啄木糸を添える。腰巻板は水平に伸ばしてシコロを笠形に開く。シコロは黒漆塗板札三段を紺糸で素掛に威す。