入札・出品方法
数寡ない屈輪彫大香合の遺例に比べ、掲出は更に大振りとなる。屈輪文はほぼ左右対称に配置され、彫りの調子はやや浅く、線は太い。巨径の香合は鎌倉時代に渡来した禅宗における儀式の際、大香炉と共に使用されたのが始まりとされ、掲出も禅宗寺院の什物として長年使用された歴史を窺わせる。屈輪文は中国宋代に流行して美術工芸品の装飾文様に使用されたが、日本での興隆においてその中心にあったのはやはり禅宗寺院で、主に建築工芸の意匠に取り入れられた。