椰子実

出品オークション
品番
Z-157
サイズ
11×11×12.5
商品カテゴリ
最低入札価格
200,000円~

物語

天然ノ椰子ニ穴ヲ穿チ墨ニテ眼ヲ描キ人面ニ擬セルモノ」(正倉院宝物記録・明治年間)。

正倉院の南倉には、南方産の椰子の実を加工した剽軽な表情の人面の器一個が残っている。あまりに変なものであり、平成三(1991)年の正倉院展の公開を唯一として公開されていない。

詳しくは図録の解説に譲るが、比叡山延暦寺の円仁の請来品目録(『前唐院資財実録』)の「夜子●壺に瓜一口」も、延暦寺には現品こそ伝来しないが、正倉院の「椰子の器」の類品だと推理されている。(『正倉院』東野治之・岩波新書42)。 
 
南洋文物が古代の貴顕の興味を誘った、いわば貴顕の珍品趣味、その古例をも知ることになった。

掲出(椰子の器)がどのような伝来を経て今に伝存するかは知る由もないが、円仁請来品の可能性も皆無ではないわけで、夢は古代を駆け巡る。

出品者のこれの入手に至った成功譚は、「露店でのこと、棚の上から私の方を向いて、眼と眼があったとき、見てくれ、見てくれと言わんばかりに笑いかけてきた・・・」。

 

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