真正な室町時代の武具類の貴重さは今更ながら、掲出は、保存状態の良さが目を見張らせる。日本甲冑武具研究保存会による「特別貴重資料」(昭和47)の認定書とともに、山上八郎(1902~1980)の折紙(昭和52)、山田紫光の箱書をみる。
認定書は「室町時代 紺絲威咽喉輪」と表題し、山上八郎は「紺絲肩紅咽喉輪」として、作期を「室町時代末期、永正頃」と詳述する。旧蔵者の可能性もある山田紫光は、山上の肩紅の追記を倣い、作期に関しては認定書の室町時代に復している。肩紅の表記については、不明を恐れず一の板の緋絲に因むのかと推察するが確信には至らない。
山上は、昭和を代表する甲冑研究の権威であり、日本画家である山田も高名な武具研究家にして上質な武具の蒐集で知られ、掲出の認定書の審査委員にも名を連ねている。