十六枚張三十間総覆輪筋兜鉢。鍍金を施した桧垣付総覆輪鉢で、鉢金は腰巻板の改造などもあって、原初の姿形とは趣を異にするが、典型的な室町中期の阿古陀鉢と観察する。腰巻板は笠●に対応して横に伸びたものを、当世●に対応すべく垂直に改造している。この改造にあたり眉庇も当世形に打ち代えられている。二方に、前三条、後二条の篠垂(刻座に瓢形先)を付し、八幡座は、刻板の座金とし、透菊・裏菊・玉縁と低く重ね、響孔は桧垣に近い低い位置に構え、小形の四天鋲を添える。鉢金は、天辺の八幡座に八幡神を影向しており、桧垣は、神域の結界である斎垣にほかならない。桧垣には極めて小形の猪目を穿ち、神の出入りを助ける。響孔笠印付鐶は菊座とし、肩に据える。