醫王山関昌寺什具 五裂縫合 ほぼ正方形の涅槃図。沙羅双樹に囲まれた宝台に、右脇を下に右手を手枕にして、両膝をやや屈して横たわる釈迦の姿を頭から見た構図で描く。釈迦の肉身や衣を金色に、衣には截金文様を施す。宝台の周囲には釈迦の死に嘆き悲しむ諸菩薩、諸天、鳥獣を配し、釈迦の足元には老女が踞まる。左上に阿那律に先導され急ぎ駆けつける摩耶夫人の一行の姿があり、中央上方の雲の切れ間に満月が描かれる。大幅ながら描写は入念で、細部まで綿密に描き込まれ会衆の表情も豊かである。画面の四周は色彩豊かな描表装を廻らせ、当初は非常に華やかであったと思われるが、時代を重ねて何度かの修理改装によって天地が細り、縦の長さはいくらか縮められている。(軸裏墨書修理銘あり)