英一蝶(承応元・1652~享保九・1724)は京都の人。本姓藤原、多賀、のち英。別号朝湖・北窓翁など。寛文六年江戸に下り狩野安信に師事(後に破門)。松尾芭蕉に学び俳諧にも長じた。元禄十一年、将軍徳川綱吉を諷刺した罪で三宅島に流された。後、大赦で江戸に帰り、一蝶と名乗った。江戸の風俗を軽妙洒脱に描写し人気画家となった。
題箋に書入れがないので上記の題としたが、月次風俗画巻とすべきかもしれない。なお、京都とは異なる江戸の風俗が書き込まれており興味を誘う。また、長巻であり各場面が子細に描かれ、見る人を楽しませる。惜しまれるは改表装時の明らかな錯乱で、月次に展開を辿ることができない。
巻頭から巻末までを追う。
正月風景(梅花、縄暖簾に注連縄飾り、門松、祝儀万歳、羽根つき)、端午風景(旗獲り合戦)、稲荷社参、観桜宴(四月)、雛遊び(三月節句、段飾)、句会(六月)、合戦遊び(端午飾)、祭、川遊び(七月)、七夕、観月、菊節句(重陽)、師走風景、宮参り、餅播き、収穫(米蔵)