鉄黒漆塗八間覆輪兜付二枚胴具足

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C-003
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付溜塗箱

物語

家地の損傷こそ惜しまれるものの、総体として華美かつ創意に富む。

 

兜           鉄板八枚を矧合わせて黒漆塗とし、阿古陀的な膨らみを見せる。各筋立と腰巻に鍍金素文の覆輪を廻らし、金銅魚子地の精緻な桧垣金物を各隅に据える。八幡座は六段、金銅裏菊座金を底として赤銅菊透、金銅裏菊、小刻、抱花に壺形の金具を重ねる。天辺から左右に精緻な利剣形の篠垂を各一条垂らし、その真下に四天鋲を一点ずつ、その後方隣の矧板中央に一点ずつ打つ。響孔はなく、笠印付鐶は裏菊座金に菊鋲頭として稍高めに打つ。受張に銘見孔はない。眉庇は裏朱の当世形、藻獅子絵韋に菖蒲韋小縁を伏縫し、座金付の鍍金三光鋲と小桜鋲七で打留め、金銅唐草毛彫の覆輪を廻らす。𩊱は五段、鉄板を矢筈頭に切付けて金叩塗とし、紺絲で素懸に威し、稍垂直方向に開く。肩摺板には啄木畦目と紅絲菱縫一段を飾る。吹返は一段、絵韋と覆輪は眉庇、絲飾は𩊱に通底した仕立とする。据紋は赤銅地を毛彫し、外郭と空隙を鍍金した「丸に向鶴」で、丁寧な工作を見せる。前立は金銅魚子地に唐草浮彫とした鍬形台に金銅日輪と練韋箔押鍬形を挿し、二本角本に宿す。

 

面具       鉄黒漆塗烈勢頬。金銅歯を挿し、糟毛髭を植える。耳に古風な六曜を透かし、丸汗抜孔を穿つ。裏朱。耳金具廻りに漆の損傷をみる。垂は四段、𩊱に通底する。

 

胴           前立挙は三段。二、三段目は𩊱に通底し、二段目に両乳鐶を打つ。一段目は黒漆素文とし、金銅菊透の入八双金物二を打ち、精緻な金銅魚子地唐草毛彫の蝶番で胸板を繋ぐ。胸板は眉庇に通底し、吹返と同紋を据える。後立挙四段は金叩塗、長側五段は鉄箔押切付札を紺絲で毛引に威す。背板と肩上も黒漆素文とし、南蛮胴風に襟を立て覆輪を廻らす。襟廻りは亀甲金を黒羅紗で包み、長側と同仕立の三段小鰭を具える。肩上先には眉庇に通底した杏葉を付す。草摺は練韋七間五段の威下げで、前三間は二段目以降を更に二間ずつに分ける。掲出は連尺用の孔を具える。また、長側四段目の前後に計四点、後立挙一段目に一点、両乳鐶と同様の鐶が打たれているものの使途は不明。

 

袖           他部位と同様の叩塗とした切付のない板札六段を階段状にずらして菱綴し、裏に銀襴を貼って覆輪し固定する。冠板は藻獅子絵韋を貼って覆輪を廻らす。

 

三具       佩楯以外は袖裏と同じ銀襴を使用する。三本篠籠手は上膊部に金具を具えず、肘部に円形の鉄金具を家地で包み、香色絲で蛇腹伏する。手甲に同紋を蒔絵する。臑当は短篠三、長篠五の八本篠で、立挙は襟に通底する。

 

付属       大型の溜塗具足櫃が添う。

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