藪内節庵外箱書
溜塗の内箱甲に「宗乗 茶碗 井戸」、蓋裏にその来歴を金字で書付ける。曰く、その起源を宗及とし、『天王寺屋会記』に記載される高麗茶碗の一なるやと愚考させる。書付では、その後大徳寺和尚・江月宗玩の手に渡り、田中道立、立佐が受け継いだとされるが、後者二名については仔細未詳である。大正昭和期に入って外箱が誂えられ、福田随竹庵四世・藪内節庵により箱書される。それによると、節庵の養父である藪内休々斎が所持していたと伝え、大国黙庵大人なる人物に譲ったとしている。
田中立佐から休々斎までの空隙については諸説想定されよう。その参考として、大正二年の売立『兵庫柏木氏蔵品 第二回』(大阪美術倶楽部)の中に「宗乗井戸」の文言のみを確認する。