本小札色々威腹巻 Iroirodoshiharamaki

この作品の出品は終了しました。
出品オークション
品番
#016
年代
室町 Muromachi period (1392-1568)
商品カテゴリ

物語

右袖の威替えは惜しまれるものの、他部位の威絲は良好な状態を保ち、総体として当初の形態をよく残している。
室町後期の腹巻として恰好の資料と云えよう。中世において、右脇で引き合わせる様式を腹巻、背割引合せを胴丸と呼称していたようだが、時代が降るにつれて錯誤が生まれ、結果として双方の名称は逆転したまま一般化した。本項においても、現在の通例通り腹巻として掲載する。

鉄韋綯交ぜの本小札を黒漆塗で盛上げ、前後立挙を各二段、長側四段とし、胸幅広く腰細りの姿形をみせる。威絲は上段から順に萌黄、紅、白、紫二段とし、威下げた草摺は七間五段、揺絲含め上三段を紫、その下を紅、白の順に色々に威す。耳絲は亀甲打、畦目は啄木打とし、紅絲二段の菱縫を飾る。金具廻りは藻獅子韋貼、菖蒲韋小縁を伏縫し、小桜鋲九で留め、鍍金素文の覆輪を廻らす。立挙との接続は於女里を設け、鍍金枝菊透の出八双座金を奈良菊鋲各二点で打ち留める。左脇の八双金物は一を欠く。肩上は藻獅子韋に藍韋小縁を伏縫し、高紐と袖付綰は当初の仕立を伝えている点は貴重である。また肩上後方には高紐状の緒を設けており、本来は背板を具備していたことを知る。

袖は肩の曲面に添う六段壺袖で、萌黄、紅白、紫、白の順に威す。耳絲、畦目と菱縫は草摺に準じる。冠板は折冠とし、仕立は金具廻りに従う。化粧板は菖蒲韋包で紅白水引を置き、金具廻りに通底した金具で留める。右袖は全段を浅葱絲に威替えられており、冠板の韋も仕立替えられる。

カタログ請求お問合せ