入札・出品方法
歌聖として尊崇られた柿本人麿の肖像は、中世以降の連歌会における菅公像と好一対をなすもので、「慕帰絵」などの絵巻物の中にも描かれている。本図は直衣指貫姿の人麿が硯箱を前に左手に紙、右手に筆を執ってやや身体を斜めにし、あげ畳上に思案げに坐る姿で、粟田口兼房が夢に感得したという像容に倣うものと知られる。柔らかな面貌描写や伸びやかな衣文表現など、いわゆる「信実流」の似絵の伝統をよく伝えている。