木彫柿本人麿像

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出品オークション
品番
A-040
サイズ
像高28
年代
鎌倉時代
商品カテゴリ
最低入札価格
185,000円~
その他
付木箱(杉)

物語

歌聖・柿本人麿の絵像について先学は、その様式的な特徴から「佐竹本系」「兼房夢想系」「維摩系」の三タイプに分別した(『歌仙』徳川美術館・2013)が、彫像については、「天ざかる夷の長道ゆ恋ひくれば明石の門より倭島見ゆ」(『万葉集』 巻三 雑歌)への憧憬から明石に人麿の木像を安置した祠堂(後の柿本神社)が建てられた縁起こそあれ、それらの系統的な先学の研究を知らない。と言うのも、巷間に伝存する夥しい彫像遺品を眺めると、彫刻史的に評価されるべき人麿像を検出することができない事実に突き当たる。掲出は、三タイプのなかでは「維摩系」に近似するが、脇息の位置の違いの他、肖像としての年齢設定の違いが指摘されねばならない。絵像の晩年風に対して壮年を示唆している点から、純粋な意味での御神体・神像として彫像されたと考えるだろう。こう理由づけると、保存状態の格別の良さも納得される。作期には、素材が良質であること、彩色の経年変化も考慮したうえで、鎌倉時代作を提案しておきたい。掲出に絵像の影響を受けて造られた要素が見当たらないことは、絵像の出現より早い時期に造られたことも視線の端に入ってくる。

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